『双子の男性型脱毛症報告』 男性型脱毛症には遺伝以外に環境の要因が影響する可能性が大きい
“Eleven pairs of Japanese male twins suggest the role epigenetic differences in androgenetic alopecia”(双子の男性型脱毛症患者11 組の治療経験の報告)と題したFuture Medical Laboratory(F.M.L.)の論文がEuropean Journal of Dermatology誌に掲載されましたことをご報告いたします。
表題: Eleven pairs of Japanese male twins suggest the role epigenetic differences in androgenetic alopecia
著者名: Taro Koyama, Kazuhiro Kobayashi, Nagaoki Wakisaka, Nobuo Hirayama, Sawako Konishi, Takanori Hama, Katsuyuki Takeda, Yoshio Nakamizo, Masaya Kawakami
著者所属: Future Medical Laboratory
発行年月: 2013年1月
【論文解説】 男性型脱毛症は、主に中年以降の男性において前頭部、頭頂部を中心に進行する脱毛症です。この脱毛症は、それぞれの患者さんの遺伝的なファクターによって左右されていることが知られています。しかしそれは「患者さんの遺伝子以外の状況によっても変わってくるのだろうか?」「たとえば食事や飲酒、喫煙などが症状の出かたに影響するのではないか?」という疑問が以前から出されていました。 遺伝子以外のファクターの影響をしらべるとすれば、遺伝子が等しい一卵性双生児の症状を比較すればわかるかもしれません。幸いにして、F.M.L.関連クリニックを訪れる患者さんの数が多く、その中には一卵性双生児の男性型脱毛症の患者さん(20代~40代)が11組(22人)もいらっしゃいました。
F.M.L.では、この双子について遺伝以外の影響があるかどうかを調べてみました。10人の医師が診断して、兄弟間の毛量の差を4段階(著名な差、中等度の差、軽度の差、明らかな差なし)に分けて評価しました。 また、問診によって男性型脱毛症が発症した時期、喫煙歴、飲酒歴、主な病気にかかったかどうか、うつ病またはうつ病に近い症状があったのかどうか(抑うつの自己評価尺度、SDS)を調べました。
さて11組の双子兄弟の間の毛量を比較してみると、そのうち5組では初診時にすでに兄弟間に毛量の差(中等度または著名な差)が表れていました。その発症の時期は毛量の少ない人ほど早く発症していることが問診からわかりました。 双子の間に毛量の差がある場合と飲酒歴、喫煙歴、既往症の間に何かの関係があるかどうかを調べましたが、特に関連性は確認できませんでした。初診時に調べたSDSも双子で同程度の数値を示しました。 11組のうち9組18人については同じ治療(ミノキシジルとフィナステリドの併用療法)を受けていました。そのうち4組は治療1年後に兄弟間で毛量の差(中等度の差)があることを確認できました。
このように、私たちは「遺伝的には同じの一卵性双子であっても、兄弟間で毛量に差がある」ということを示しました。このことから「男性型脱毛症の進行には遺伝だけではなく、環境の要因が関わっている」という可能性が強く考えられるようになりました。
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監修者情報
(サイト内監修・ページ監修)
SUPERVISOR
クレアージュ総院長 兼 クレアージュ東京院長 浜中 聡子医学博士 / はまなか さとこ
- 経歴
- 北里大学医学部卒業
- 北里大学大学院医療系研究科
- 臨床医科学群精神科学修了北里大学東病院精神神経科
- 北里大学病院救急救命センター
- 亀田総合病院精神科
- 国際医療福祉大学熱海病院精神科・講師
- 2009年10月
AACクリニック銀座院長
- 2017年3月
Dクリニック東京 ウィメンズ
(旧ウィメンズヘルスクリニック東京)院長に就任 - 2018年2月
クレアージュ大阪(旧Dクリニック大阪 ウィメンズ)顧問医師に就任
- 2020年11月
クレアージュ東京 エイジングケアクリニック
(旧Dクリニック東京 ウィメンズ)院長に就任
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