第8回国際毛髪学会
5月14日~5月17日、韓国の済州島で第8回World Congress for Hair Research(国際毛髪学会)が開催されました。この学会は脱毛症治療と毛髪研究の国際学会で、脇坂院長が所属するNPO法人フューチャーメディカルラボラトリー(FML)は継続して研究発表を行ってきています。
■白血球テロメアの長さに関する研究発表
今学会で、FMLは白血球のテロメアの長さと男性型脱毛症の進行具合の関係性を解析した結果を報告してきました。テロメアは染色体末端に存在する遺伝子で、細胞分裂を繰り返すごとに少しずつ短くなっていくため、細胞老化のパラメータの一つとされています。
我々が被験者から採取した白血球のテロメアを解析したところ、テロメアの長さと脱毛症の進行具合に明らかな関連は見いだされませんでした。男性型脱毛症が加齢に伴い進行することは周知の事実ですが、従来からの報告通り、その進行には男性ホルモンの関与が大きく、加齢そのものによる遺伝子の変化、あるいは細胞の老化の影響は少ないことを今回の研究結果が示唆しています。
■国立がん研究センターと共同発表
本発表の他に、男性型脱毛症とは異なりますが、パゾパニブという新しい抗がん剤と、その副作用としての毛髪の変化について、小林英介先生(国立がん研究センター中央病院骨軟部腫瘍科)と共同発表をしてまいりました。
■国際学会で座長を務める
この講演では、我々が日頃より研究の指導を賜っている川上正也先生(FML専務理事、北里大学分子生物学名誉教授)とともに筆者もシンポジウムの座長を務めてまいりました。今後も、頭髪外来の診療の向上、男性型脱毛症治療の更なる進歩のため、クリニックでの研究、他施設との共同研究を継続し、学会での情報交換に努めてまいります。
小山太郎(FML理事)